世界でも類をみないその最大の特徴は、銅精鉱と硫酸を一つの船舶で運べることにあります。まず、チリの銅鉱山で生産した純度約30%の銅精鉱を船倉に積み、PPC佐賀関製錬所(大分県)などに運びます。続けて、乾式製錬の中間工程において製造された濃硫酸を、今度は専用のタンクに積載してチリに輸送し、再び銅鉱山での製錬工程に用いたり現地の主要顧客に販売したりすることができるのです。
まさに、「一隻二鳥」の性能を誇る『MAR CAMINO号』は、製錬事業全体の輸送費の合理化に貢献。世界をまたにかけてJX金属グループの非鉄金属事業を支える画期的な船舶です。
『MAR CAMINO号』は2010年9月、建造された今治造船今治工場(愛媛県今治市)で命名式が行われました。以来、当社の運航管理のもと順調に航海を続けています。
総トン数: | 30,454G/T |
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積貨重量: | 53,862D/W (重量トン) |
全長: | 189.95m |
幅: | 32.26m |
深さ: | 17.90m |
満載吃水: | 12.622m |
最高速力: | 16.97ノット (時速約31km) |
銅地金を生産する原料の銅精鉱には、硫黄分が含まれています。佐賀関製錬所など、乾式製錬を行う日本の製錬所では、これを取り除き、最終的には硫酸を製造して出荷します。すなわち、硫酸は銅地金の副産品です。一方、湿式製錬(SXEW法)と呼ばれる銅地金製造法では、銅鉱石に硫酸を散布してできる浸出液から電解工程を通じて銅地金を製造することから、多量の硫酸を使用します。世界一の産銅国チリでは、銅地金の需要増に伴い、硫酸の消費量が増えています。銅精鉱が必要な日本に銅精鉱を運び、硫酸が必要なチリに銅地金の副産品である硫酸を運ぶことができる鉱硫船は、非常に合理的な船なのです。